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書評 『今こそシェイクスピア』 宗片邦義著

1 著者と知り合ったのは、今から10年ほど前。米沢市上杉博物館にある能舞台で、英語で能を行うというので取材に出かけた。
 能を舞ったのは宗片邦義氏で、舞台後に話を聞くと、評者と同じ鶴岡市生まれ。一気に親近感が湧いて色々と話を聞かせてもらった。その宗片氏から2年前に送られてきたのが、本書と『英語謡曲のすすめ』の2冊。中々、紹介することができずに今日に至ったことは大変に申し訳ない。
 同氏は1934年生まれ。東京教育大学(現筑波大学)大学院修士。以降、謡曲・仕舞を観世流梅若万紀夫師に師事。ハーバード大学フルブライト研究員を経て、静岡大学教授。現在、同大学名誉教授。博士(国際関係)。
 これまでシェイクスピア英語能『ハムレット』『オセロー』『マクベス』などを創作し、自らシテを演じてアメリカ十数か所で公演した。国際融合文化学会会長を務める。
 本書は、英国の劇作家・詩人シェイクスピア(1564〜1616)の『ロミオとジュリエット』を皮切りに、ヘンリー8世まで、13編について著者が原作詞を行い、能風に翻訳した。英国の劇を日本の能という舞台に替えて上演しているせいか、批評も掲載して読者にどこが面白いかを伝えている。
 宗片氏は本書発行の目的として、平和維持を掲げる。「戦争回避には、核兵器(科学)や法(論理)の抑止力でなく、シェイクスピア劇(文芸)などに見られる精神性・霊性が一つのヒントになるのではないか」と述べている。  
 今、日本では「国宝」の映画が大ブームとなっている。日本の伝統的芸能が新しい形で紹介され、日本人自身が自らのアイデンティティーに気づかされた。英語能もその意味では、日本人に能の面白さ、親しみを与えてくれるものとして大いに期待している。(評者 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

著 者 宗片邦義
発行日 2023年9月18日
発行所 でくのぼう出版
発売元 星雲社
価格  1,100円+税